ポール・J・マコーリイ『フェアリイ・ランド』

フェアリイ・ランド (ハヤカワ文庫SF)

フェアリイ・ランド (ハヤカワ文庫SF)

表紙買い。いや、ちゃんと裏表紙のあらすじも読んだ上でだが。終わってみりゃ全然印象が違ってビックリだ。カバー全体がミスマッチもいいとこだ。
あー、とても読みにくかった。何が読みにくい原因かはよう分からんが、なかなか読んでいてのめり込めない。主人公のアレックスが、一連の事件の発端に関わり全体を見届けた人物ではあるが、核心にはかなりの距離があったキャラクターだからだろうか。構成は完全に洗練されたサイバーパンク。数十年単位で、同時間軸で何人ものキャラクターが、章毎に入れ代わりつつ物語が進行する。
「解説の『ポスト・ヒューマン』てどういうこっちゃ?」という疑問が離れぬまま、のろのろと一日平均100ページで読むこと一週間。技術関係や作中世界はイマイチ分からないが、それでもなんとか読み続けるものの、少女の謎も彼女自身の語りで一気に済まされてしまい、「俺はこの作品はダメだったのか?」と思いながら最後の章に到達。ここでやっとこの小説の本質がやっと分かる。そういうことか。そのオチだけは綺麗に決めたものだなあと、納得。完全に表紙が騙しじゃねえか!
相当に人を選ぶ作品だと思った。うーん、初心者には読めん。さらに、ファンタジーなんかの基礎教養があった方が楽しめそう。華やかさより派手さより、状況が上手く掴めぬままガツガツ進んでく感じがやっぱりサイバーパンクだなあ。表紙から勘違いして、キャラの魅力を期待しちゃいけませんね。ぐったり。