アイザック・アシモフ『夜明けのロボット』

イライジャとダニールのロボットSFミステリ3作目。また、ロボット物とファウンデーション・シリーズを結びつける、最初の架け橋的作品。
極めて人間に近く、作った張本人にしか破壊手段が分からないロボットが殺された事件で、製作者であるロボット学者にかけられた嫌疑を晴らす為に、イライジャが惑星オーロラで捜査を始める。
鋼鉄都市』『はだかの太陽』でもそうだが、これらの作品で描かれる社会像は非常に面白い。それぞれの社会における常識や文化が重要な鍵として機能しているし、現代・未来の社会に向けた痛烈な批判性を持ち合わせている。今作は、一見進んでいて洗練されているように見えるが、伝統主義的な側面に取りつかれつつある社会。
この作品よりファウンデーション・シリーズの要となる「心理歴史学」が言及され始めたりするところが、ファウンデーション読者にとっての胆か。
少々話が長く感じる節は否めないが、伏線の張り方と消化の仕方は上手い。しかもそれがシリーズ全体、更には二つの作品群をスムーズに連結させているのはお見事。それらを読んでいると、ニヤリとしてしまう流れ。
 
ああやっぱりアシモフ面白い。想像上の技術とそれで成り立った社会、そしてそこで活躍する人物達の組み合わせ方が見事なんだよなあ。