J・P・ホーガン『ガニメデの優しい巨人』

ガニメデの優しい巨人 (創元SF文庫)

ガニメデの優しい巨人 (創元SF文庫)

『星を継ぐもの』の続編。
ガニメデアンの人格者っぷりが素晴らしすぎて、何故かそれだけで満腹に。前作では勢い余る感じのハードSFだったのが、今作では爽やか過ぎるコンタクト物に。
焦点は、ガニメデアンの故郷である星「ミネルヴァ」の生物が何故滅んだのか、前作で発見されたガニメデアンの宇宙船にあった地球の動物が示す謎や、ルナリアン=人類の進化の秘密などの、生物学よりな謎解きが中心。しかしガニメデアンのコンピュータ「ゾラック」が、少々主人公たちにヒントを与えすぎている印象もあって、どうもあっさり説明され過ぎている風にも感じる。前作の月に関する推論よりは、現実味があったけれど。
地球人類とガニメデアンの文化的ギャップを、それぞれの進化の違いから理由づけ、更にそれが双方の秘密に関わる伏線となっているのが、一番面白さを感じた。