スタニスワフ・レム『ソラリスの陽のもとに』

まず、解説を先に読んではいけません。自分が読んだ版の場合はそう。原版にあったらしいレムによる前書きの翻訳文を読むと、楽しみが半減してしまうと思われます。この文章こそが、この小説の示そうとする方向性の最大級なネタバレ。本文を読み終えてから解説に触れると、腑に落ちてこの作品の素晴らしさに驚くはず。
しかし前半はまるでホラーですね。死んだはずの人間が目の前に現れる。遠ざけようと閉じ込めたりすると人間とは思えない力を振るう。有り得ない速度で傷が治り、致命傷さえ完治する。
後半では惑星ソラリスの途方も無さが、様々な形で描写されます。ケルビンとスナウトのやり取りがキモですね。スナウトがギリギリの精神状態から発する言葉に、人類が持つ思考の本質が暴露されているな、とワタシは感じました。