さらに蛇足して書くまなびストレート

まなびストレートはズレている。俺の感覚では。
何がズレてるかと言うと、少子化が進んで廃校寸前な高校や、学生であるという事に大した価値を感じない若者と、そういうバックグラウンドを描きながら、主人公たちが目指すのは「ワクワクキラキラ」っちゅう抽象的な学園祭だとか、それが学校合併により合併先から学園祭中止と命令が下った時に主人公たちがするのが全共闘パロディや署名運動などを行うあたりとか、今の延長上にある世界観の有する問題とそれにアクセスする主人公たちの活動の乖離が俺の思うズレである。しかもその活動の実態が、もの凄い抽象的で明言されず、ますます歯痒いという。
そこに、作り手世代のノスタルジーを感じてしまって仕方がない。しかも、なまじっかそれは分かるんだが、でも既にそれじゃ上手く行かんという現実を知ってしまった、そういう自分みたいな人間にゃあまりにも白々しく見えてくる。
いや、ああいうやり方じゃあ、主人公たち以外はついて来ないやろ……とか、背景のリアリティと主人公たちのファンタジーっぷりに作ってて疑問は抱かないんだろうか……とか、友情や愛校心だけじゃ乗り越えられないモノをこう料理して誰が喜ぶんだろう……とか。
んで、ふと正式タイトルを思い出す。「……学園ゆーとぴあ、じゃねえか」と。
ああ、コレはユートピアなのか。天国とか、桃源郷とか、現実じゃない、そういう世界なんだなあ、と。だから、現実の延長上にある背景を使いながら、非現実的な昔ながらの学園生活を見せているんだなあ、と。だから、これほどノスタルジックな学生像を描き出そうとしているのか。
そうすると、このアニメへの感想が、高齢層の妙に私情籠もった考察と、若年層の表層的な感想に、二分しているように見える理由が分かる。特に、前者が妙に語る理由が。
だからこそ、タチが悪いというか。いや、視聴者じゃなくて、作り手が。オタクの罪深い点が、半端にSF的に未来を描いている分、余計に表出している感じがする。まあ、それを言い出したら例えばゼーガペインだってオチは筋肉で突っ走ったじゃねーかとか言えるけど、でもなあアレは対象年齢が違うだろうコレとは……とか。あっちは王道の説教臭さだが、こっちは内に籠もる感覚。観ている側に与えるモノが、あまりない。
いや、いいアニメだとは思うのだけれど。演出や作画はどっかからの引用みたいなのも多いが、でもそれをキチンと高水準でこなしている頑張りもあるし。
ただ、面白いテーマを扱っているのに、その回答があまりにも古いのが、なんとも寂しい気分になってしまう。しかも、典型的な「友情・努力・勝利」フォーマットなのに、あんまり努力部分が具体的に見えてこないのも、感情移入しにくい点。
いや、フィクションだしね。ユートピアだしね。楽しんだモン勝ちだよね。
でも、もう少し鋭さが欲しかったと思ってしまう、熱気の衰え始めた学園祭で運営に携わった人間が、ユートピア創造も現実問題も不完全燃焼に終わった悔いから漏らす、愚痴でしかないアニメ感想。ノスタルジーで喜ぶ側にも、キャラ萌えで喜ぶ側にもなれない、そんな半端な俺のまなびストレート問題。俺のユートピアはいずこに。まっすぐ、ごー。