光瀬龍『たそがれに還る』

たそがれに還る (ハルキ文庫)

たそがれに還る (ハルキ文庫)

うーむ、読むのに結構時間がかかった。その理由はと言うと、……あんまり面白く感じなかったからかなあ。
舞台は3000年代終盤の太陽系内に広がりきった人類圏、物語は宇宙船団の消失から始まり、主人公がそれ以降の事件を調査するうちに、過去に存在した地球外知的生命の痕跡とそれらが発する滅亡への警告を発見していくというのが大筋。
人類が見いだそうとする微かな希望と、対する終末への恐怖心のバランスが読みどころか。
日本SF萌芽期の作品でスペースオペラ物だからなあ、主題に物語としての重みはあるとは言えど、俺にはあんまりピンとこない世界像という感覚が。
これこそまさに世代間ギャップ。入り口の違いか。
でも、終盤の無力感は堪らない。これを当時、文学として認められていなかったジャンルでやる事が重要だったんだろうし、だからこそ支持され今でも手に入れられるんだろうな、なんて小松左京の『SF魂』から受けた当時の印象から考えたり。