主観的な身体感覚を描くのに、マンガやアニメほど適した表現はないよねー。って、どこの誰に向け何を意図して書いているんだろう俺は。
 
いつの間にかエンディングが変わってたレッドガーデンに落胆。まあ、あの曲はオタクにもサブカルにもウケないだろうし、そこそこに評判悪そうな印象だったけれど、俺はあのノリで作られた動画がとてもツボだったんで。あからさまに曲の実際の演奏と、キャラのパフォーマンスが乖離してるんだけど、ただそのラフさや嘘丸出しな陶酔具合がなんとも音楽的だなあ、とか感じていたもので。
 
ハルヒのライブシーンが話題になった時に、俺はスゴいし頑張った演出してるなあと感心はしたけれど、それがアニメとしての魅力かどうかと考えた時にすっごい微妙な気分だった訳で。あの演出では「生の高校生」らしかったハルヒだけが強調され過ぎてて、何だか煮え切らない感じがした。他の演奏者は妙にスタジオミュージシャンみたいな行儀良い演奏だし、客席に視点が移るとそこには他のアニメとさほどかけ離れていない典型的なアニメキャラのノリで。一人汗をかきシワが浮くほど大声を出すハルヒが、全く浮いている。その温度感が気になって仕方なかった。
で、レッドガーデンの前EDは逆に楽器の演奏描写はデタラメだし、全然京アニ的な誠実さは皆無なんだけど、その代わり熱狂感があったり、見栄えがいいからついやっちゃうライブパフォーマンスをガンガンぶっ込んでたり、そこら辺が観てて面白かった。要するに見た目のカッコ良さっつう、ある意味じゃイタいんだけど魅力的な遊びがしっかり入ってたのが、フィクションとしての面白さの一例なんじゃないか、と。
 
最近のアニメじゃあんまり意識させられないのが、実際にカラダ動かしてる時に感じる手足の伸び縮みとか発熱とか呼吸とか、そういう実際にカメラで撮影した映像では分からない身体感覚を表現した絵柄や動き。オーバーにデフォルメされた演出。実時間ではなく感覚的な時間の表現。いわゆる出崎演出とかにあたるのかな?こういう表現の大袈裟さが、最近敬遠されているのか、少々寂しい。
そして、そういう大袈裟さを用いて描く対象として、音楽演奏はいい素材なんじゃないかと思う。音楽の空気感を鮮鋭に描き出し、その世界をより良く伝えるものとして。
 
写実的なリアリティより、感覚的なリアリティが欲しい。そんなものは、他のメディアがやってくれる。