アーサー・C・クラーク『イルカの島』

イルカの島 (創元SF文庫)

イルカの島 (創元SF文庫)

ホバージェットに密航した家出少年、ホバーの難破で太平洋漂流、そこにイルカの群れが現れて彼を運んだ先は・・・。
海底二万里』を読んだ時に感じたような風景の鮮やかさや主人公たちの生き生きとした生活が、読んでいてとても心地いい。本編全体の印象はいわゆる「SF像」からはかけ離れているけれど、その情景描写の裏にある自然科学知識のさり気なさが、また心にくい。
幼年期の終わり』や『2001年』もいいのだけれど、この作品はジャンルを超えて面白い作品であると感じる。「クラークを読みたい」という人に薦めるなら後回しになりそうだけれど、「ちょっとSFに興味がある」という人になら一押しじゃないでしょうか。