アーサー・C・クラーク『幼年期の終り』

幼年期の終り (ハヤカワ文庫 SF (341))

幼年期の終り (ハヤカワ文庫 SF (341))

先が読めない展開、そして圧巻な結末に驚くばかりでした。
外惑星から来たオーバーロードの、妙に寛容な人類の管理にいったいどのような目的があるのだろうと、読んでいるあいだずっと疑問に思い、それが明らかになったあともいったい人類はどうなるのかと、どこまでも気になる展開が続いて、それが読み終えたあとまで余韻として続くのがすごい。第三章を読み終えた後では、あれだけ面白みを感じた第一章が物凄く他愛のないやり取りに見えてきます。
2001年シリーズよりも遥かに徹底した、知的生命体の干渉による人類の進化像には恐怖さえ覚えます。ああいう概念はいくつか他のSF作品から知ってましたが、それを突き詰めてあれほど今の人類には理解不能な存在に仕立て上げるとは・・・。
あと人類の文明停滞を表現した箇所は、非常に鋭いところを突いていると感じました。
これは今まで読んでなかったのが申し訳ないくらいのSFでした。