クリストファー・プリースト『奇術師』
- 作者: クリストファー・プリースト,古沢嘉通
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2004/02/10
- メディア: 文庫
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19世紀末に『瞬間移動』を得意技とした2人の奇術師、彼らの確執が20世紀末の子孫にまで影響を及ぼし……。新聞記者の男性が最初の章で主役となり、そして彼の先祖が残したとされる手記が第二章を構成し、第三章では対峙した側の子孫である女性が語り部となり、彼女の先祖が残した日記が第四章、そして第五章で……。一切を知らない新聞記者、「惑わす事」に全てを注いだ男の残した記述、過去を知りそれに縛られた女性、そして几帳面な彼女の先祖が残した全容、そして話は新聞記者に戻り……。
徐々に真相が、伏線が明らかに、もしくは覆されて、本当の事が分かっていくような、話の組み立て方が見事。その緻密さが、何よりの面白さかもしれない。