「今一番ハマっているアニメはなんですか?」

「『N・H・Kにようこそ!』ですけど・・・」
実に笑える。ひきこもりとその周囲に集まる困った人たちを、徹底的に戯画化して描いたと捉えれば、あながちあり得ないお話ではない。
ひきこもりの矮小なプライドとか、想像力貧困なクリエイター志望キモオタとか。各種社会的弱者達が自分のテリトリーに最底辺のひきこもりを連れ込みカモろうとして、ひきこもりがますます混乱し悪化していく過程とか。
観てて痛々しい。だから笑えてくる。お話の展開は極端な作りだ。だからかえって本質を突いてくる。
演出・作画も主人公の感情起伏に徹底的にリンクして、主観的な世界として描かれている。やり過ぎな性的描写も、激しく歪む表情や動きも、徹底した主人公視点という狙いに基づいているんだろう。
制作者達が、クライマックスで主人公・佐藤達広にどのような選択をさせるのか、これが非常に気になるところ。恐らく、この作品のキャラクターには「成長」はほぼ描かれないだろう。だから「選択」である。落ち続けるのか、それとも最後にきっかけのみを与えて締めるのか。「ひきこもり」に対する作り手の考えが、そこに集約されるだろう。
この作品、叩く奴・けなす奴・批判する奴の言い分は恐らく正しい。エロアニメだとかギャグアニメだとか解釈して、無邪気に喜んでる連中に比べたらよっぽど作品の本質を分かっていると思う。
是非とも「恋愛」や「成長」や「変化」でのオチは回避してもらいたいものだ。
 
「社会に上手く折り合いがつけられない人たち」の哀愁漂う喜劇、そういう作品としてやり逃げして欲しいなあ。