冲方丁『マルドゥック・スクランブル 圧縮』

個人的にこの人の仕事でまず思い浮かぶのは、アニメ『蒼穹のファフナー』シリーズ構成・脚本、あとはアワーズに連載されている・・・タイトル思い出せん、・・・『ピルグリム・イェーガー』だ、漫画の原作ですね。ラノベは殆ど読まないのでここら辺しか知らないのです。
大きな戦争が起こり科学技術の最も高度なものに制限が科せられた街が舞台。事件に巻き込まれた未成年の娼婦が限定解除された科学技術によって助かり、事件の真相を探ることとなる・・・、というのがイントロダクション。
世界観や技術はギリギリ想像出来る範疇ですが、そこら辺の説明は少しばかり投げ気味。むしろ焦点は登場するキャラクタに向けられている感じですか。
文体のリズム感は独特で、恐らく韻を踏んだ語の多用や、キャラクタの性格・役割を丸出しでつけられた彼らの名前が、それをかもしだしているのでしょう。
そういう意味では分かりやすく、またフェティッシュでもあるなあ、と。
ハードボイルドSFアクションなんでしょう。
ただし、昔ながらの渋くて強い男性とそれを助けつつ守られるヒロインの構図が反転していて、自らを守る為に戦い始めたヒロインとそれを助ける煮えきらないハードボイルドなネズミ、というのが最近の作家・ラノベ出身らしいなあ、と。恐
エンターテイメントとしてはまあ面白いし、結構絵を想像しやすい小説だと思います。お話は、スラム舞台の葛藤・恋愛・成長モノの直球と言えそうですが。
まあ3部構成ですから、あと2冊買わないと最終評価は出来ない訳で。
でも思い入れはあまり湧かないなあ。
結構世界観がカッチリしたラノベを好む層向き、かな。でもセカイ系ではないな(笑)。
むしろ古典的なSFの方がセカイ系かな、主人公が学生とかじゃなくて科学者や宇宙飛行士だけどね(苦笑)。

ちなみにGONZO制作でアニメ化決まってるそうです。
確かに絵が想像しやすい時点でアニメ向き、GONZOならフェチ描写に気合を入れてくるでしょうし、原作物なら大コケはしないかな?
あとこのシリーズの過去編も出るらしいです。タイミング合わせたなw